2009年02月06日

世界で一番地味な花

カンアオイ。寒い季節に花を咲かせ、その葉が徳川家・葵の御紋のような形をしている
ことから名前がついた。



種類としてはスズカカンアオイ、ヒメカンアオイ、カントウカンアオイ、コシノカンアオイ・・・
ずいぶんたくさんに地域個体群が分かれている。なぜならこの植物の主な花粉媒介者は
アリ。もしくはカタツムリやナメクジ、ヤスデといった説もある。

風が運ぶわけでもなく、羽根の生えた虫でもなく、アリが運ぶ花粉の範囲は知れている。
ましてや花期が冬なので、運んでくれるアリだってそうは活動していない。

それゆえ自生地の範囲は狭く、開発によりそこが荒らされるともう回復できないのだ。



寒空の下、落ち葉をかき分けよ~く探してみると・・・あった。カンアオイの花だ。



おそらく最も地面すれすれに咲き、おそらく最も人目につきにくいであろうこの花は、
もしかしたら「世界で一番地味な花」かもしれない。

けれど人間にとっては目立たないこの花も、ある生きものにとっては「なくてはならない」
大切な存在なのだ。この葉に卵を産み、それを食草とする、「ギフチョウ」。



ひっそりと産卵し、ひっそりと冬を越す。しかし早春の森に舞うその姿は美しく、人はこの
チョウを「春の女神」と呼ぶ。女神はカンアオイがないと生きていけない。
カンアオイが無くなれば、女神も滅んでしまうのだ。



真夏の太陽に向かって咲き誇るヒマワリのような花もある。
けれど、真冬に人知れず、ひっそりと咲くカンアオイのような花もある。

地味で目立たぬ存在でも、間違いなくこの花は、他の命を支えているのだ。

鉄崎幹人公式HP http://www5.ocn.ne.jp/~tetsu/



  

Posted by mikihito at 16:02Comments(0)TrackBack(0)